先日、神明鳥居を記事を更新しました。私の神社巡りのきっかけを作ってくれた鳥居。その種類は全国で60種類以上とも言われその多さに驚きます。今回は神仏習合色の強い明神鳥居を徹底分析していきます!
大きな鳥が羽を広げたかのような明神鳥居
まずは基本的な明神鳥居の形を見てみましょう!神明鳥居と大きな違いは笠木と島木の二重の上部分と笠木の反り。貫が出ていて横への広がりがカッコよさを感じます。神明鳥居はシンプルな造りですが、明神鳥居は端へ向かうにつれて高く空に向かっていく感じが、大きな鳥が羽を広げているように迫力があります。
クサビがあることが多く、神社の名前を刻んだ社額がある事も多いです。
越前国の総社大神宮は明神鳥居で社額は東郷平八郎の書。優しい繊細な文字で総社大神と刻まれています。福井市の足羽山に鎮座する藤島神社は朱色の明神鳥居。福井駅近くの火産霊神社も明神鳥居です。
柱の先に台座がある台座鳥居
そんな明神鳥居の変化形として一番多くみられるのが台座鳥居です。
柱と島木がくっつくところに丸い台座がある鳥居のことを指し、福井県には普通の明神鳥居と同じぐらい多く見られます。
福井県内では半分以上の神社でこの台座鳥居が入り口に建てられています。新しく建立される場合もそのほとんどが台座鳥居で石材屋さんでモデルとして置かれているのもこの形が多いです。
台座鳥居は県内で最も多い鳥居なのでおのずと見つけることができます。中でも足羽山の毛谷黒龍神社、鯖江市神明町の琵琶神社の台輪鳥居はその色から笏谷石を使ったものだと推測できます。また、笠木の反り方が凄くまさに羽ばたく鳥のような鳥居になっています。坂井市三国町の三国神社の台輪鳥居には銅板が巻かれている鳥居。色から青銅?かな。
朱色の台輪鳥居も多く、越前市大滝町の岡太・大瀧神社の鳥居も見事な台輪鳥居で屋根が乗っているような笠木に台輪が黒なのもかっこいいです。
稚児柱が柱を支える両部鳥居
明神鳥居の柱に稚児柱という柱が付いた両部鳥居。その支えられた柱の下部分はがっつりと存在感を増す鳥居となっています。朱色の鳥居が多いような気がしますが木造で瓦でしっかりと守られた両部鳥居もあってなかなか個性的な鳥居が多いのも特徴です。
福井県内の両部鳥居でまっさきに思いつくのが越前国一之宮の気比神宮の鳥居ではないでしょうか?国の重要文化財に指定されていて日本三大木造鳥居のひとつです。笠木の上の漆黒の部分や笠木の下の島木の部分に神紋があったりと鮮やかで素晴らしい鳥居です。
池田町にある須波阿須疑神社の鳥居も大きく威厳があります。気比神宮も須波阿須疑神社も町のシンボル的な鳥居でその景色は敦賀市や池田町を思い起こさせます。鯖江市小黒町の八幡神社の両部鳥居も鎮守の森の中にあって神秘的な雰囲気を醸し出しています。
個性的な鳥居が多い両部鳥居。坂井市坂井町東荒井に鎮座する春日神社の白い両部鳥居は写真では分かりにくいですがかなり大きな鳥居でその迫力と清楚な感じが合わさって他にない雰囲気を出しています。境内の中にも両部鳥居がありとても絵になる神社です。
越前町金谷の住吉神社の両部鳥居は木製で稚児柱を繋ぐ貫の部分に瓦が乗せられていて笠木についている瓦と合わせてみると、まるで鎧に守られているような鳥居になっています。越前町には同じような両部鳥居がいくつか見られるので同じ職人さんが造った可能性も考えられます。
神明系と明神系が合わさった中山鳥居
神明系の鳥居の最大の特徴は貫が柱から出ていない事でしたが、この中山鳥居は明神鳥居の笠木に神明神社の貫の特徴があるとっても変わった鳥居。一見すると神明系鳥居に感じられますが明神鳥居の種類に属します。
この中山鳥居は意外に多く見られる鳥居で丸岡町の国神神社、三国町の通称・雄島にある大湊神社、勝山市平泉寺付近にある神明神社など多く見られます。
その中でもあわら市宮谷の八幡神社の中山鳥居はふくいブルーと呼ばれる笏谷石のカラーがそのまま出た特徴的な鳥居です。
推測ではあるのですが、もともと中山鳥居は坂井市・福井市を中心に多くあったと考えます。近年、鳥居を新しくした神社はほとんどが明神鳥居か台座鳥居です。しかし、古い鳥居を維持している神社は中山鳥居が多く見られます。また丸岡町の国神神社や雄島の大湊神社などの地域の式内社、または総社クラスになると中山鳥居が多く残されています。最近、鳥居を立て直した神社で中山鳥居を建てた神社は皆無に等しいです。これは、今後の課題としてですが現存する中山鳥居の建立した年を確認すると同じような年代ではないかなと考えます。ある一定期間、中山鳥居が建てられた時期がありその鳥居が現存しているパターンと、丸岡町の国神神社のように受け継がれていって今に残るパターンがあると考えます。今後の深堀ポイントです。
福井市片山町(旧・清水町)に鎮座する八幡神社の境内にある中山鳥居はとても小さくかわいい鳥居。福井市指定文化財の鳥居で慶長18年(1613年)大工・千助の文字が刻まれています。これは大坂冬の陣の頃に造られた鳥居だと考えるととんでもない古い鳥居だと考えられます。この時代に中山鳥居が造られているのも興味深く、江戸期には中山鳥居が多く造られていたのではないかという推測に当てはまります。
さらに特徴的な鳥居として、鯖江市舟枝町の白山神社。正面に明神鳥居の鳥居が建ち、すぐに新しい台座鳥居があり、またすぐに古く今にも倒れそうな中山鳥居が参道に続けて立っています。
ひとつの神社で3つの鳥居を確認出来てしかもきれいに並んでいる。鳥居好きにはたまらない三鳥居です。
社額に破風が付いた山王両部鳥居
最後は、越前白山信仰の拠点・白山平泉寺の二の鳥居です。社額に屋根の付いた独特の形の鳥居は山王鳥居と呼ばれています。しかも稚児柱付きの両部鳥居でもあり福井県ではここだけの特別な鳥居です。木で作られていて白山平泉寺の苔に覆われた境内の雰囲気にもあっている県内で最も有名な鳥居のひとつです。
明神鳥居についてまとめましたが、まだまだおすすめの鳥居は多くあります。大塩八幡宮の朝倉家建立の両部鳥居など、キリがない鳥居熱!まだ見ぬ福井県の神社の鳥居を探して今後も鳥居に注目して記事を書いていきたいです!
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